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            メール・マガジン

       「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第024号         ’99−12−03★

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       あなたの姿勢は?

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●「かくれ猫背」

 

とはうまい表現ですな。 TV番組で初めて知りましたが、力の無い、バネの

利いていない、どこかスキッとしない立ち姿。 たしかに、そんな人が多く

なりました。 そう言えば、

 

「キビキビした」とか「テキパキ」と形容するのがふさわしい人に出会うこと

もなくなりました。 一時は、アジル・カンパニー、俊敏な企業であるべき、

など唱えられましたが、これじゃ実現は困難なのではあるまいか。

 

人が集まって成り立つカンパニー、その構成員が近ごろ、全然俊敏じゃないの

だから。 体はノロノロしていて頭だけすばしっこい、、 なんてことは普通

ないのではありませんか? もちろん、何にでも例外はある、にしても、、、

 

 

日本が軍国主義に戻るのではないか、と恐れる人がいるとは不思議。 むしろ、

何かの都合で闘わなくてはならなくなる時もあるだろう、その時にすら、俊敏

に、勇猛果敢に行動することが出来ない民族にすでになり果ててしまったので

はないか、と私は恐れているくらいです。

 

街を歩く人々、駅のプラットフォームで電車を待つ人々、、、どっちを見ても

そこまでの元気を感じさせる人は少ない。 首筋がまっすぐに立っていない、

背筋が伸びていない。 季節のせいもあろうけれど、服の色も肌色も、暗い。 

 

着るもの、持ち物、近くへ寄って見れば結構ブランド品だったりするのだが、

その割に見栄えがしない。 ご本人たちは気づいていないらしいが、姿勢一つ

でずいぶん損をしているんじゃないか、、、と余計な心配もしたくなる。

 

あれで、職場に立てばシャッキリするんだろうか?  ちょっと信じがたい。

 

*   *

 

良くない姿勢の原因は、独断と偏見で言えば、基本的に自分がどう見えて

いるか、意識が無いこと。 次に、善し悪しの「評価基準」が適切でない、

または無い、からでしょう。 これらがあれば、ああはなるまい、、、

 

と思うが、人は千差万別。 中にはそんな姿勢を「良い」と信じ、意識的に

そうしている人だっている、、かな?  それはかなりユニークな人ですね。

 

<無い>か<ユニーク>か、どちらにせよ「外観は内容の表現」、お人柄の

判断材料に加えて良いでしょう。 「一事が万事」、そのお人柄があちこち

に反映されるものだからです。 私は<シグナル>の一つと見ます。

 

あなたはどんなシグナルを発信していらっしゃるのかな、リーダーとして?

 

*   *   *

 

念のため申し添えますが、「姿勢が良ければ中身も良い」とか、その反対に

「悪ければ悪い」と言うのではありません。 <健全なる肉体>に必ずや

<健全な精神>が宿るわけでないのと同様、それは別の話です。

 

ただ、ある種の意識や何らかの基準を持っている人らしい、と察することも

可能だろうというだけ。 つまらないことのようではあるけれど、リーダー

たる人は、そのどちらも欠いてはなるまい、と思います。 なぜなら、

 

それらが<ある>リーダーには、相手も合わせやすいでしょうし、<無い>

や<ユニーク>では、見当がつけられなくて相手は困る、でしょうからね。

 

人々をリードして成果を挙げる、ということは、彼らに合わせてもらう、と

いうことでもあります。 <姿勢>は見て分かり、いきなり<感じさせる>

シグナルですから、その示し方に工夫や配慮を加えることは、ほかの誰でも

ない、リーダー自身にとって必要でしょう。

 

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●技法で<姿勢>を正す、

 

、、、おいおい、いくら講師だからって、と言われそうですが、、、私は

「外観は内容の表現」論者ですからね、可能だと思います。 それには

 

まず<課題の設定>に着目すべきです。 課題を適切に定めれば、それに

伴う MUST や WANT が自然に浮かび出て来ます。 それらが念頭にあれば、

シャッキリせずにいられなくなる。 逆にそれらが無いと、体にも声にも

力がこもらない。 「悪い姿勢」は、それらが<無い>ことの証明かも。

 

 

その一例が先頃、NHKTVで見られました。 「進学も就職もしない高卒者

が増えている」そうで、その一人が自宅の居間、TVゲームで遊んでいる、、、

つまり、「暇つぶし」の意味で「遊んでいる」。 あぐらをかいて背中を丸め、

まるで楽しくもない、張り切ってもいない、という「内容」が歴然の無表情!

 

質問に答えて彼いわく、「やりたいことが何も無い。 何がやりたいか、分から

ない」。 夜間、コンビニの店員をして、月13万円。 本人はそれで満足して

いるらしいが、父親はもちろん「将来の保障が無い」と心配している。 

 

察するに、まず彼には「良い生き方の選択」なる課題の認識が無い。 従って、

人間としての MUST も WANT も持っていない。 ま、要するに「考えたことが

無い葦」なんですな、彼は。 つまり、<人間以前>というべき存在。

 

*   *

 

<悪い姿勢>の典型「ジベタリアン」もその同類でしょう。 あれは「直立・

二足歩行を特徴とする哺乳動物」の特権を放棄した姿。 むしろ不気味です。

それがキミらの「個の確立」なのかい? おい、せめて「立って」くれよ。

 

ロダンの「考える人」の背中もまっすぐとは言い難いが、良い考えを得るには、

背筋をスッキリ伸ばし、首をシッカリ立てて、、とか、何かで読みましたよ。

即ち逆もまた真、外観を正せば心も積極的になって来るものなのだ、、と。

 

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●昔、ジョン・ウエインの西部劇

 

などを観て映画館を出てくる男たちを観察し、「みな肩を揺すって歩く、、」

と書いた人がいました。 余韻? 残存効果? とにかく影響されるんですな。

 

同様、直立的な姿勢は、そのように自分を保とうという意識の表われ、その

ような個性(善し悪しは別として)の持ち主であることの証明です。

 

 

たまたま今、アメリカ大統領選挙へ向けて活動している人々の姿をニュースで

見る機会が多い時季ですが、どうご覧になりますか?  姿勢、表情、着こなし、

言葉遣い、、 国のリーダーになろうという人は、やはり違う。 中身が第一

ではあろうけれども、見た目が颯爽としているに越したことはありません。

 

知る限りを振り返ってみても、トルーマンはコンパクトだがシャンとしていた。

アイゼンハワーは軍人だから当然ピンとしていた。 ケネディは背中に痛みを

持ちながらスッキリ立っていた。 ジョンソンはテキサス人、胸を張りました。

例外的に背中が丸かったのはニクソン。 そのせいか、終わりがよくなかった。

 

以下、フォードはもちろん、あの軟弱なカーターですらも立ち姿は良かった。

ましてレーガンは生涯的に映画俳優。 CIAブッシュも、嘘つきで好色な

クリントンも、、、 ほら、背中の丸い人なんかいなかったでしょ?

 

アメリカの、自由主義社会の、そして世界のリーダーですからね。 どの一人

も<課題>は明確、< MUST 、WANT >の権化でした。 そうでなかったら、

あの長い選挙戦を戦い抜くことも出来ないし、まして大統領職は務まらない。

 

*   *

 

比べて我が国では、、と引き合いに出しては恐れ多いが、「国民の象徴」たる

お方の背筋も、伸び伸びしてはいませんね。 何か遠慮しておられるような、、、

 

しかし「象徴」、リーダーを演じていらっしゃるわけではない。 じゃ、国の

リーダーたる人はどうか。 毎度のサミット記念写真で、何とか見られたのは

中曽根元総理くらいではあるまいか。 トップがそのレベルだから、国会議員

諸公はさらに範とすべくもありません。 どなたも何やら首をすくめたような、

肩に力が入りすぎたような、、 あれはどんな意識の表われなんでしょうね?

 

*   *   *

 

あなたの職場ではいかがです?  高度成長時代には「肩で風を切る」とか、

「後ろ姿に自信を漂わせる」人がよくいたものでしたが、「どこからタマが

飛んでくるか分からない」現状、ひたすら低い姿勢でないと、、かな?

 

しかしリーダーは、それじゃ務まらんでしょう。 丹波哲朗は言いました。

 「おれは軍隊で一小隊以上は指揮したことはないんだけれども、このまま

  だとどうせ全滅するんだったら、弾が飛んでくる中に一ぺん立ってみよう

  と立つんだ。そうすると、兵隊は敵を見ないで全部おれのほうを見ている。

  こっちはハラハラしながら、もうあと三十秒立っていよう、三十秒の間に

  弾に当たったら運が悪いんだと思っている。そしてゆっくりと塹壕に下りる。

  こういう場合にオドオドしたら、何と言ったってだめなんです。反対に今

  言ったように行動した後なら、兵隊を手足のごとく動かすことができる。

  どこにでもついてきますよ。 演出家は隊長なんだ。」

             「和田勉のおしゃべりスタジオ」/PHP研究所

 

職場も「戦場」でしょう? 弾なんか恐れていたら、統率はできない。 が、

当たれば少なくとも傷つきます。 立つか立たないかは at your own risk で

決めるほかない。 そして時に、それを敢えてしなければリーダーたり得ない。

 

何とかしなくちゃ、という場面では、この丹波哲朗、思い出して下さい。

 

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●例によって人間二大別、

 

「そうしたいから、、」や「そう出来るから、、」で何か「する」人と、「そう

すべきだから、、」や「そうしなくてはならないから、、」で「する」人と。

 

誰にでも両方の要素があり得るでしょうが、リーダーを演じる場面のあなたは

後者に違いありません。 つまり、MUST や大きな WANT がハッキリしている人。

 

 

そこで、またもや日産自動車COOゴーン氏。 先夜のNHKTV「クローズ

アップ現代」のインタビューで、「リバイバル・プラン」の見込みを問われ、

「断固とした姿勢が必要。 妥協はダメ。 企業再生という究極の目標の前に、

妥協は許されない。 利益を生み、シェアを高め、負債を大幅に減らすことが

必要」だと答えています。 ただのお念仏には終わらせない、、の雰囲気。

 

利益、シェア、負債、、どれも生やさしくはありませんからね。 引き締めた

口元、真正面から見据える目、昂然と首を立て、、 すでに「断固たる姿勢」!

 

*   *

 

だいたい日本人、プランを見ただけで騒ぎすぎる。 これからが本番だぜ、で

いわく、「95%は再建計画の実行に在る」。 実行の先頭に立つ彼は、当然

「弾」なんか恐れない「隊長」です。 だから、ああいう姿勢になる、、、?

 

ルノーのシュバイツアー会長は、ゴーン氏について「状況を見極め、分析する

能力が優れ、、、 ビジネスを必ず成功させるという強い何かを持っている。」

と述べましたが、「強い何か」の表われがその「姿勢」なのではあるまいか。

 

あなたも「強い何か」をお持ちでしょうが、補強が必要で、あなたにその気が

あるなら、肝心部分は Rational Process でお手伝いすることが出来ますよ。

 

 「始めるに当たり、日産の人々との接触を通じてイメージを作ろうと思った。

  先入観や現実的基盤の無い印象は持たず、白紙の状態で始めた。」

 

ともゴーン氏は言いましたが、これぞマネジメントの心! 「白紙スタート」

は鉄則です。 KT法、EM法、ともに何枚組みかの「分析シート」なるもの

を用いますが、どれも初めはもちろんブランク。 それを手に、自分に必要な

情報は「自分で」、「質問して」集め、シートの該当欄を次々埋めて行きます。

 

すると、どこかに空欄が残る。 それを満たす情報は無いのか? あるいは

無くて良いのか? 別の質問で切り込む。 それが相手をハッとさせ、時には

沈黙させる。 そのため「鋭い」、「コワイ」と思われることもある。 が、

質問する側は「すべきだから」、「しなくてはならないから」しているだけ。

 

これを「そう思ったから」、「したかったから」で質問すると、ピント外れに

なることもあり、自分で評価を下げてしまう結果にもなり得る。 その危険は、

上のように、技法の活用で避けることが出来るのです。

 

*   *   *

 

「アウトサイダーであることが不利ではないか?」と訊かれてゴーン氏、

「それがむしろ役に立つ。 質問するにも提案するにも、過去にとらわれる

必要のない自由な立場だから、、」と。 全然怖がらない、つまり強い。

 

このやり取りは、「技法を知らない人が訊きそうな質問」と、「技法を知って

いる人においては、何の不思議もない答え」の典型だ、と私は思いました。

もちろんゴーン氏は、技法とは関係なく、生得の資質としてマネジメントの

心を持った人だろうとは思いますが、、。  真の管理職は何も恐れない!

 

さらに、日産自動車社員に突っ込んだ質問を重ねたことについて尋ねられた

ゴーン氏、「経営者にとって<詳細>は必要でないが<はっきりと、正確に>

は必要。 正確な質問をすれば正確な答えが得られるが、あいまいな質問を

すればあいまいな答え。 それは良いコミュニケーションとは言えない」と。

 

そうなんです。 良いマネジメントのためには、良いコミュニケーションが

必要。 それは「呑みニケーション」とは全く次元を異にするものなのです。

その意味で、 Rational Process はコミュニケーションの技法、でもあります。

 

*   *   *   *

 

しかし「強い」ゴーン氏、大声を出すとか、コワイ顔をするわけではない。

再建計画のキビシサや日産自動車の状況に対する判断を訊かれて、「日産は

深刻な状況にあり、今回の措置はそれに見合ったものと考えている。 即ち、

思っていたよりも悪いとか良いというものではない。 診断通り」と平静淡々。

 

しかし、僅か30分の番組の中で

 ・何故そうしたか。 再生をもたらさない方法は受け入れられないから。

 ・過去を振り返っていては問題解決にならない。 未来を見て、再生の決意

  を持たなくてはいけない。

 ・弱腰になれば、この目標は達成できない。、、中途半端なことをしている

  余裕は無い。 焦点をしっかり合わせ、決意をもって実行しなくては。

 ・影響の緩和については組合や政府とも色々考慮はするが、弱腰になって

  いる余裕は無い。

と、何度も不退転の決意を述べています。 文字通り、「強」調ですね。

 

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●「我々は<成果を実現する>存在」

と明言するゴーン氏、今後についてはさらに具体的。

 

 ・利益重視、顧客重視、横断的な作業が必要。 明確でグローバルな

  ビジョンを持ち、共有化する必要がある。

 ・大切なのは、人々の信頼を獲得すること。 率直さと実績で。

 ・社員に求めた3ポイント:1)言葉の定義をはっきりすること。

              2)客観的データで説明すること。

              3)後は実行するのみ。

 

まさにアタリマエの実践をリードする人、リーダーですな。 お気づきとは

思いますが、一々 Rational Process に適っているのですよね、これらは! 

 

 

そのゴーン氏、「2001年3月期連結決算黒字転換」が実現できなければ辞任、

と伝えられています。 私はそれを自信の表明と見るが、あるいは緊迫感の演出

かも知れない。 陰ながらお祈りするのみ。

 

 「再生計画はコスト削減計画ではない。利益を挙げ、成長することを目指して

 いる。、、コスト削減は大切な要因だが、それのみがセンセーショナルに報道

 されている。、、非戦略的で、中核的でないビジネスから資源を移している。」

 

は全くオーソドックス。 正道を行くのは楽ではない。 が、勝つのは必ずや

正統派、と昔から決まっています。 その彼の直立的な姿勢がこうも新鮮に映る、、

ということは逆に、我が国の腐敗劣化の証明、、、 かも知れませんな。

                               ■竹島元一■

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